とげとげの枝をもつオキナワネムの拡大
オキナワネムは、ギンネムと同じマメ科アカシアの仲間で一見するとギンネムとよく似ています。南方系の帰化植物なのですが、沖縄本島では、末吉公園の西森(ニシムイ)、末吉公園につながる平良の石畳の道、虎頭公園、首里城周辺など、首里周辺に限られるというちょっと不思議な分布をしています。「もしかして、首里を守るために鉄条網代わりに植えられたのかもね。」という話を冗談交じりに聞いたこともあります。
最近、そのオキナワネムがニシムイで目に見えて増えています。きっかけは、おそらく地元のボランティア活動です。
ニシムイは拝所にもなっているので、地域の人たちが丘の上の定期的に草刈りを行っていました。適度に草を刈られた場所は、毎年、シロバナタンポポやシマアザミ、ノビルなどが見られました(ここ数年は、草を徹底的に駆除したい人達によってシロバナタンポポは激減してしまいましたが)。
大きな変化があったのは、ボランティアの人たちが、丘の上の草刈りにとどまらず、斜面林等で林床の植物や低木、つる、とにかく自分たちがいらないと思う植物の伐採を始めてからです。
当時、伐採事件に気が付いたあと、公園や地域の人たちにいろいろ連絡を取って、どうにかやめてもらうことはできたのですが、一部の斜面緑地は、すでに、ずいぶんスケスケになっていました。キナワネムも伐採対象だったようですが、とげが衣服や肌に刺さって身動きを封じられるので他の植物のようには刈り取ることはできなかったようです。
現在、オキナワネムはニシムイの斜面緑地を中心にに広く拡大しています。ボランティアの人たちがオキナワネムの種子を活動中にばらまいて、図らずも分布拡大に加担してしまった可能性が高いです。事件前、丘の中腹の遊歩道沿いの限られたところに分布していたことを考えるとずいぶん拡大したものです。
オキナワネムが広がっていることに対して、市民からどうにかしてほしいという要望が上がってきているようです。先日も公園建設課(元、花とみどり課)※から委託を受けた業者が斜面の伐採を行っていました。基本オキナワネム対策のようでしたが。オキナワネム以外の樹木も伐採しているようだったので、そのやり方はオキナワネムを増やすだけなので、やり方をもう少し考えてほしいと伝えました。
※那覇市では、整備が終わった公園は、公園管理課が管理運営をする。整備の終わっていない公園は、公園建設課が建設整備するのだそうです。末吉公園は、新たな大きな整備を行わないので全域が整備済みということになり、今後は全域が公園管理課の管理になるようです。公園管理課には、鳥獣保護区である末吉公園の自然保全計画をしっかり立てて、運営管理をしてほしいです。

末吉公園の東側入り口の駐車場の斜面に広がっているオキナワネム。中央から左側の中腹あたりに密生。どうも公園建設課が伐採したあたりに多い(残念)。

ほとんど全部オキナワネム。駐車場の斜面。

遊歩道沿い。もともとこのあたりにだけに分布していた。このあたりは伐採されたはずだが、すでに完ぺきに回復している。

左側(斜面側)はオキナワネム。右側(丘の上)はギンネム。遊歩道で両者がせめぎあっている。ギンネムが生えているところは広場だったが、草刈りが行われていないのでギンネムが伸びている。

左側(斜面側)の上を覆っているのはオキナワネム。